金融商品取引法では、金融商品取引業者が顧客に与えた(与える)損失を補てんすること(補てんすることを約束すること)は禁止されています。 なぜ、損失補てんが禁止されるのか? 2つの理由があります。
公正な価格形成が阻害される。 金融商品取引業者に求めれる市場の担い手としての責務に背き、投資者の信頼を損なう。
そこで、次の行為は禁止されます。 損失保証・利回り保証 損失補てんの申込み・約束 損失補てんの実行
金融商品取引業者と契約の相手方である顧客との間の損失補てんが禁止されるだけでなく、第三者を介して行う損失補てん等も禁止されます。また、逆に、顧客が金融商品取引業者に損失補てんさせる行為も禁止されています。
ここで疑問が出てきます。 どんな場合であっても損失補てんは禁止されるのか? 業者の不法行為によって顧客が損をするケース、業者の事務ミスによって損をするケースもあります。 そこで、一定のケースで顧客が損をしてしまった場合には、損失補てんの禁止規定が除外されます。
除外されるケースをご紹介します。
損失補てんできる場合 次の金融商品取引業者の違法または不当な行為が原因で顧客に損失を及ぼしてしまったものには、損失補てんすることができます。 ① 未確認売買 顧客の注文内容を確認しないで、当該顧客の計算により有価証券売買取引等を行うことをいい、次のケースが該当します。 顧客から注文があったが、その内容の確認が不十分であったり、外務員の勘違いや思い込みによって、顧客の意に沿わない取引となったケース 顧客を取り違えて勧誘し、注文執行したケース
② 誤認勧誘 有価証券の性質や取引の条件、有価証券の価格の騰落等について、顧客を誤認させるような勧誘をすることをいい、次のケースが該当します。 商品そのものの性格について、説明不足や誤った説明を行ったケース 「必ず上がると思います」、「大丈夫です」と言って勧誘し、価格の騰落について誤認させたケース
③ 事務処理ミス 顧客の注文の執行において、過失(ミス)により事務処理を誤ることをいい、次のケースが該当します。 注文の執行を失念してしまったケース 注文の執行が遅延してしまったケース 売却注文の執行を誤って買付してしまったケース
④ システム障害 電子情報処理組織(コンピューターシステム)の異常により、顧客の注文の執行を誤ることをいい、次のケースが該当します。 コンピューターシステムの異常(ハードウエア、ソフトウエア、通信回線等の異常の別は問わない)により、顧客の注文の執行を誤ってしまったケース
⑤ その他法令違反 金融商品取引法、内閣府令および協会規則等の違反行為を原因とするものをいい、次のケースが該当します。 顧客の注文に基づかずに勝手に売買を行ったケース
顧客に損失補てんする場合は、あらかじめ内閣総理大臣(金融庁長官)に対し、事故の事実を証する必要書類を提出し、事故の確認を受ける必要があります。
内閣総理大臣の確認をせずに、損失補てんできる場合もあります。 ただし、補てんした後の事後報告をする必要はあります。
主なケースは次のとおりです。 未確認売買等の上記①から⑤に該当する事故で、補てんする損失の金額が10万円以下の場合 事務処理ミス等の上記③と④に該当する事故で、法定帳簿や注文内容の記録によって事故であることが明らかな場合 裁判所の確定判決を得ている場合 裁判上の和解が成立している場合 金融商品取引業協会または認定投資者保護団体のあっせんによる和解が成立している場合
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